歯周病とは
歯周病とは、歯を支える歯周組織(歯肉、歯根膜、歯槽骨、セメント質)に炎症が生じる病気の総称です。炎症が歯肉にとどまっている状態を「歯肉炎」と呼び、さらに歯槽骨や歯根膜にまで広がった状態を「歯周炎」といいます。かつては歯周炎のことを「歯槽膿漏」と呼ぶこともありました。
歯周病の特徴は、痛みをほとんど伴わず静かに進行していく点にあります。このため「silent disease(静かなる病気)」と称されることもあります。気付いた時にはすでに歯を支える歯槽骨が吸収され、歯がぐらついたり、噛む力が弱くなったり、最終的には歯が抜け落ちてしまうことも少なくありません。
歯周病は成人に多い病気ですが、小中学生にも見られることがあります。さらに近年では、歯周病と糖尿病などの生活習慣病との関連性が明らかになっています。このように、歯周病は口腔内だけでなく全身の健康にも影響を与えるため、予防が非常に重要です。
歯周病の原因
- プラーク(歯垢)
歯周病の主な原因はプラークです。プラークは、細菌が集まって形成される塊で、歯に付着する「バイオフィルム」として知られています。特に歯周病の原因菌は酸素の少ない環境を好むため、歯周ポケットの内部に多く存在します。これらの細菌が毒素や酵素を放出することで歯周組織が破壊され、歯周病が進行していきます。
- リスクファクター(危険因子)
歯周病の直接的な原因はプラークですが、口腔内の環境や生活習慣などが歯周病を悪化させる間接的な要因となることがあります。これらのリスクファクターが存在することから、歯周病は生活習慣病の一種ともされています。
歯周病を予防するには、まず正しいブラッシングでプラークを徹底的に除去することが基本です。それに加え、下記のような生活習慣も見直しましょう。
喫煙
喫煙は歯周病を悪化させる要因です。ニコチンが血管を収縮させて血行を悪化させ、一酸化炭素が酸素不足を引き起こすことで、歯周組織の抵抗力が低下し、歯周病が進行しやすくなります。
ストレス
ストレスは体の抵抗力を低下させ、生活習慣の乱れを招くことで歯周病を悪化させる原因となります。
食習慣
甘いものや柔らかい食べ物はプラークを増やし、不規則な食事や栄養不足は歯周組織の免疫力を低下させます。バランスの取れた食生活が重要です。