歯周病(歯槽膿漏)と全身の健康
あなたの命を守るために
えっ!歯周病で死ぬことがあるの?
歯周病(歯槽膿漏)は、歯茎の炎症や出血を引き起こすだけではなく、実は全身の健康にも大きく影響を及ぼします。口の中の細菌が歯茎の血管や唾液、呼吸を介して体内に入り込むことで、さまざまな病気のリスクが高まるのです。
では、具体的にどのような影響を及ぼすのでしょうか?
1. 歯周病と肺炎 ー 高齢者に多い誤嚥性肺炎のリスク
歯周病菌が唾液や呼吸を通じて肺に入り込むと、「誤嚥性肺炎」を引き起こすことがあります。特に高齢者に多く、日本人の死因第4位である肺炎の約97%が高齢者で発症しています。お口の衛生管理を怠ると、知らぬ間に命に関わる病気を引き起こす可能性があるのです。
2. 歯周病と心疾患・脳疾患 ー 血栓を作りやすくする危険性
歯周病菌は、心臓や血管の内部に入り込み、血栓を作りやすくすることが分かっています。その結果、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。
心疾患(心筋梗塞など)は、日本人の死因第2位
脳血管疾患(脳梗塞など)は、日本人の死因第3位
これらの疾患の予防には、歯周病の早期発見・治療が欠かせません。
3. 歯周病と糖尿病 ー インスリンの働きを妨げる影響
糖尿病の患者さんにとって、歯周病は特に注意すべき病気です。歯周病の炎症がインスリンの働きを妨げることで、血糖コントロールが難しくなり、糖尿病が悪化する原因になります。また、糖尿病の方は免疫力が低下しやすく、歯周病の進行が早くなることも分かっています。
糖尿病と歯周病は、相互に悪影響を及ぼす「悪循環」に陥りやすいため、口腔ケアが非常に重要です。
4. 歯周病と妊娠 ー 早産や低体重出産のリスク
妊婦さんも、歯周病には注意が必要です。歯周病菌が血流に乗って子宮に影響を与えることで、陣痛を早めてしまい、早産や低体重出産の原因になることが報告されています。
健康な赤ちゃんを迎えるためにも、妊娠中の歯科検診や適切な歯磨きを習慣にしましょう。
5. 歯周病と免疫力 ー 基礎疾患を悪化させる要因
糖尿病や腎疾患などの基礎疾患を持っている方は、免疫力が低下しがちです。そのため、歯周病にかかると感染症にかかりやすくなり、治りにくい状態になります。また、慢性的な炎症が体全体に悪影響を及ぼし、病気の進行を早めることもあります。