歯周病と全身の健康
歯周病は単なる「歯茎の病気」と思われがちですが、実は全身の健康にも大きな影響を及ぼします。歯周病の原因である 歯垢(プラーク) に潜む細菌が歯茎に炎症を起こし、そこから血管内に侵入することで、体全体に影響を及ぼすことがわかっています。
炎症が続くと、心臓疾患、脳血管疾患、糖尿病、さらにはアルツハイマー病や誤嚥性肺炎などのリスクを高めることが研究で明らかになっています。
歯周病と心臓・脳の病気
歯周病が進行すると、炎症物質が血管内に入り込むことで動脈硬化を引き起こします。動脈硬化が進むと、以下のような病気のリスクが高まります:
1. 心筋梗塞や狭心症 動脈硬化による血管の狭窄や詰まりが原因で、心筋への血液供給が妨げられます。歯周病菌が血管内でプラークを作り、血流を阻害することが関与しています。
2. 脳梗塞 脳の血管が詰まることで起こる病気です。歯周病がある人はそうでない人の 約2.8倍 脳梗塞になりやすいとされています。
歯周病と糖尿病:悪循環を断ち切る
歯周病は糖尿病の「合併症」の一つとされていますが、最近の研究では、逆に歯周病が糖尿病の症状を悪化させることも明らかになっています。
● 歯周病が糖尿病を悪化させる理由 歯周病菌が血管内に入り込むと、炎症物質が放出され、血糖値をコントロールするホルモン(インスリン)の働きを妨げます。その結果、血糖値が上昇しやすくなります。
● 治療で血糖値改善も 歯周病治療を行うことで、炎症が収まり、血糖値のコントロールが改善したという報告もあります。糖尿病を予防・改善するためにも、歯周病の治療が欠かせません。
放置しないためにできること
歯周病を予防・改善するために。
① 歯磨きと口腔ケアの見直し 歯磨きだけでは落としきれない汚れが原因になることがあります。歯間ブラシやデンタルフロスを取り入れるとより効果的です。
② 定期的な歯科受診 自分では気づきにくい歯周病も、歯科医師や歯科衛生士によるチェックで早期発見が可能です。半年に1回の定期検診を心がけましょう。
③ 生活習慣の改善 バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠は歯周病だけでなく、全身の健康にも役立ちます。
歯周病治療で全身の健康を守ろう
歯周病は放置すると、口腔内の問題だけでなく、全身のさまざまな病気につながる可能性があります。しかし、適切なケアと治療を行えば予防・改善が可能です。